星野学園中学校 道徳職業講演会
平成20年度 第1回 道徳職業講演会報告
日時:平成20年9月25日(木)
講師:佐藤 正様(本校在学生の保護者様)
職業:株式会社ユニゾン建築設計事務所所長
建築士は、社会に貢献でき、自分が取り組んだことが形になる喜びを得られる職業である。資格も必要で「一級建築士」になるには、国家試験を受けなければならず、毎年9万人が受験して8%の合格率という厳しい試験である。この試験に29歳で合格32歳で独立し、現在に至る。
集合住宅の購入のときに質問するのは主婦が主である。女性ならではの感性は、建築士にプラスになると思われる。これからは女性建築士が増加する見込みである。建築士の仕事は住宅建築の計画から実施、設計(設計はパソコンのキャドで行う)、行政の確認を受け、完成してクライアントに渡すまでが責任である。雨漏り、ひびのクレーム処理もあり、誠実に迅速に対応できるかは、その人の人柄が問われる仕事である。自分の描いた設計図が形になるのに今でも不安がある。もちろん大変大きなお金が動く仕事でもある。
建築家への道は、工学部からと芸術学部から進む方法がある。建築に携わるには、国家的な資格が必要なことはもちろん、職業的倫理観と高い志を持つことが不可欠で、利益を第一に考えないプロフェッションでいる必要がある。
これからの建築業界では3次元キャドが主流になり、エコロジー、省エネルギーが基本になる。大量消費の時代は終わっており、各戸で太陽光発電などのエネルギー獲得が始まる建築が主流になる見通しである。
建築に携わるには、品格と幅広い教養が必要とされ、数学の知識が必要であるが、その数学というのは中学の数学から高校1年で習う数学Tまでの範囲のものがほとんどを占める。
建築の仕事は人とのかかわりが大切な仕事なので、社会人として成熟した人となることが望まれる。
振り返ってみると中学時代の勉強の取り組みやブラスバンド部でキャプテンを務めたこと、生徒会役員をがんばったこと、全てが現在につながっているので、皆さんも恵まれた環境で学問を受けられることや、色々な物事に興味を持つことを大切にして、好きなことが仕事になるのが一番の幸せになると思うのでがんばってほしい。
平成20年度 第2回 道徳職業講演会報告
日時:平成20年10月2日(木)
講師:水野 隆弘様(本校在学生の保護者様)
職業:水野動物病院院長、獣医師
板橋区、成増で小動物専門の動物病院を開業している。小学校時代、ポメラニアンのハチ君を飼っていたが、骨が細いため骨折してしまった。動物病院でギブスをしてもらったが、ギブスをとったら、ハチ君の前足が曲がったままになってしまった。その様子を見て自分はもっと腕のいい獣医になろうと思った。獣医になれる学校は少なく、全国に国立8校、私立5校しかない。自宅からかよえる大学に入りたいと思って勉強をがんばった。
星野学園では動物を飼っている人が多いが、動物の食べ物について説明しよう。
動物に一番いい食べ物はドッグフード?と答える人が多いけれど、ドッグフードは人工栄養で自然の食べ物にはかなわない。動物の食べ物は農林水産省の管轄なので、法律の規制があまりされていない。ドッグフードは規制が少ないので、多くのメーカーが参入して乱立気味である。ドッグフードはヨーロッパから始まり、安くて簡便なため広がったが、歴史的に見て動物を長生きさせるために作った食べ物ではない。イヌは基本的に雑食で、人間に近い。ネコは肉食である。塩分や油、刺激物はあげてはいけない。動物の健康を考えることも大切なことで、ドッグフードの見直しも始まっている。
狂犬病について説明しておくと、感染はイヌだけではない。哺乳類全てがかかる病気であるので、人間にも感染する。感染して発症した場合は100%死に至る病である。かまれた場所によって潜伏期間が違い、ウイルスが神経を伝わって脳に届くと亡くなる。発症したら直す方法はないので、ワクチンで予防する。現在、国内では発症例はないが、最近タイで犬にかまれて亡くなった日本人が2人いる。
中国では国の発表で2000人は死亡している。日本ではイヌにワクチンを打つことをすすめており、その地域で70%以上のワクチン接種がすんでいれば、広がらないといわれている。
海外ではワクチンの接種率が低いところもあるので、むやみにイヌに手を出すのは控えたほうがよい。
この仕事についてよかったことは、動物のことをトータルで診てあげられることであり、直してあげて喜ばれることである。人間の病気は内科、外科、整形外科と細かく分かれているが、獣医は1人で全てを担当する。病気の流れがわかり、どうしたら直せるかいろいろ研究できる職業でもある。いくつになっても勉強が必要な仕事であり、面白い仕事である。
第3回道徳職業講演会報告
日時:平成20年10月9日 (木)
講師:塚越 建治様
職業:日本航空(株)機長
JTB川越支店様を通じて、JAL様から本校に講演のお話を頂きました。当日は、日本航空さいたま営業支店支店長井上様、同アシスタントマネージャー白渡様もご同行下さり、生徒たちにJALのボールペンと絵葉書をプレゼントして下さいました。この講演は2、3年生を対象に大ホールで実施しました。当日の講演の様子をご覧ください。
<講演内容>
身近にパイロットの人がいたことと、事務職より変化がある仕事を求めて日本航空(株)に入社。パイロット養成コースで資格を取得。平成13年10月には機長3500時間無事故表彰、平成17年より777型機機長に移行し、現在に至る。
JALでパイロットになる方法は、四年制大学卒業後、自社養成コースに進むか、航空大学校や自衛隊で資格を得る方法がある。
機長になるためには、最初はサービス業にも従事したあと、訓練生として3〜4年、副操縦士として8〜10年乗務する。機長になる資格試験までに、約15年かかる。キャプテンになるまでも多くの試験を受けるが、キャプテンになってからも、半年か1年ごとに訓練の試験があり、健康審査もある。
パイロットという職業に求められる資質とは、自分で計画、実行できる自主性を持ち、健全な肉体・精神の持ち主であり、チームワークを大切に出来る人である。星野学園中学で育みたい人物像と全く同じである。最近は女性の進出も目覚しく、JALではあと5年ぐらいで女性のキャプテンも誕生予定である。現在機長を目指している女性は5名いる。
機長は、安全で快適に定時に飛行機を運航させ、さらに効率よく飛行機を飛ばすことを求められている。当日の運航のルート、高度、搭乗燃料の量を決定するのも機長の仕事である。運航の安全を最優先し、最終責任者でもある。飛行機に入ってまず整備士と確認をし、飛行機の周りを自ら歩いて外部点検する。キャビンアテンダントとも打ち合わせをし、飛行機をチームで動かしていく。機長にはマネジメントの力も求められる。毎日、変化する自然、環境、人間を相手にする仕事であり、仕事をやめるまで訓練を必要とするプロフェッショナルでなければならない。