美術講演会

(平成22年10月23日(土)、星野学園中学校大講堂)

 文化庁主催 「子ども 夢・アート・アカデミー」が星野学園中学生全員を対象に、10月23日大講堂で開催されました。講師には日本芸術院会員 絹谷幸二先生をお迎えしました。絹谷先生は日本を代表する洋画家で長野オリンピックのポスターや上海万博の日本産業館の天井画等多くの 代表作があります。

   

 まず先生の作品をスライドでご紹介いただき、制作の意図やメッセージをご披露いただきました。先生の作品はカラフルな色遣いが多く明るいのですが、内容は重いテーマのものが多くあります。先生のお生まれになった奈良や京都、東京の国立博物館は戦争で空襲をうけていません。これは大切な文化財があったからです。「文化には核を抑止する力がある」ことを生徒たちに伝えて下さいました。絹谷先生の色とりどりの美しい花の絵をバックに、「花はなぜ美しいのか」と生徒に問いかけ多くの答えを引き出して下さいました。先生のお話に生徒たちがぐんぐん引き込まれていきます。

   

後半は実際に画用紙や色鉛筆を使ったワークショップです。先生の指示に従いみんな夢中で手を動かします。鉛筆でお互いの顔を書くときは先生がポイントを教えて下さいました。ワークショップ中は絹谷先生も、同行して下さった助手の方も本校の先生方もみんな生徒たちの席を回って声をかけます。絹谷先生はどの生徒の絵もいいところを見つけて褒めて下さいます。描きあげた絵はその場で会場の大きなスクリーンに映してみんなで鑑賞します。最後に生徒の質問に丁寧に答えてくださり、大きな拍手で終了しました。中学生全員が大満足で2時間近くがあっという間に過ぎました。

 

 絹谷先生から芸術のもつ力の大きさを伝えてもらった講演ならびにワークショップでした。絹谷先生ならびにこのような機会を与えて下さった関係機関の皆さま、本当にありがとうございました。

 

*「子ども 夢・アート・アカデミー」とは,平成17年,日本芸術院・三浦朱門院長の提唱により始められた,日本芸術院による社会貢献事業です。 美術・文芸・音楽などそれぞれの分野における最高峰の芸術家である日本芸術院会員がゆかりのある小・中・高等学校を訪問し,実技披露を交え,会員自らの体験に基づいた講話を行います。子どもたちに文化芸術活動の素晴らしさや夢を持って生きることの大切さを伝え,豊かな心や感性を有する我が国の文化継承者の育成を図ります。(文化庁HPより)

 

【生徒の感想】

芸術はただ似ているように描くのではなく、その物によって見えるイメージの色などを考えてかいていくのだと思いました。絹谷先生は絵を自由に、そしていろんな色を使ってかいていました。一番おどろいたのは絹谷先生の弟子が長嶋監督だったことです。絹谷先生は野球でも芸術でも、見ることが大事だと言っていました。芸術はいろんな視点から見てかいた方がおもしろい作品ができると思います。今回の講演会で芸術は、堂々とかき、自分のイメージの色を重ねていくものだと分かりました。(1年生 Oさん)

最初に絹谷先生を見た時はこわそうな人だと思ったけれど、自己紹介を聞いて、とてもユーモアがある人だと思った。絹谷先生が描く絵は、どれも色があふれていて、すごいと思った。自分たちで絵を描く時には、スラスラと手が進んで不思議だった。絵はあまり上手に描けなかったけれど、とても楽しく、勉強になってよかった。また機会があれば、教えてもらいたいと思った。(2年生 U君)

絹谷先生のお話はとても面白かったし、楽しかったです。それはきっと絹谷先生自身が芸術だからだと思います。美しいものをより美しく、世界の問題点を芸術で美しく表現できるということが素晴らしいと思いました。そして「形あるものはいつか壊れていく」という考え方も美しいと思いました。講演中に描いた絵もはじめの色々な色で描くということがとても楽しかったです。(3年生 Nさん)